インドネシアにおけるハラールプロジェクト:シャリーアの適用と商品化がもたらす少数派への影響
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領2期目のインドネシア政府は、シャリーア(イスラーム法)主導によるハラール認証の推進を全面的に支持するとともに、ハラール産業が国の経済や市場を発展させる動機になるという考えを表明しました。加えて、ジョコウィ大統領はインドネシアが世界におけるハラール産業の中心になることについても意欲を示しています。 宗教的な背景からインドネシアにおいてもハラール性の決定は昔からイスラム教と深い関わりがありましたが、ハラール製品保証に関する「インドネシア政府規則第 33/2014号」が立法されるまでの間、国がハラール性を正式に制度化することはありませんでした。 1990年代から2014年にかけて認証を含むハラール関連の事項決定はインドネシア・ウラマー評議会(MUI)が非公式に行っていました。その後、宗教省(MORA)によりハラール認証はムスリム団体ではなくインドネシア政府が公式に取り扱うべきとの提案がされ、同法の制定にいたりました。「インドネシア政府規則第 33/2014号」の立法は、ハラール製品の認証における権限の帰属をめぐるMUIとMORAの論争を受けてのものだったのです。 インドネシアで推進されるハラールプロジェクトは商品化だけでなく宗教概念にも関連し、特に審査の過程でイスラム教の選択方式が採用されることについては経済成長と市場におけるパフォーマンスの向上が阻害される可能性が指摘されています。インドネシアのハラール制度はイスラム法のシャーフィイー学派をベースとしており、関連商品のハラール性の定義について非常に厳格です。ハラール市場の発展に適応するためには、より柔軟なイジュティハード(イスラム法理論)を取り込むことが必要だとされています。 普遍的かつ包括的な価値に対応するという趣旨の下、「インドネシア政府規則第 33/2014号」が制定されハラール性が公式化されました。しかし一部の少数派グループは、この法律によってムスリム多数派の法であるシャリーアが強制され、彼らが慣れ親しんだライフスタイルが疎外されるのではないかと懸念しています。 「インドネシア政府規則第 33/2014号」が制定されたことにより、シャリーアの適用は単にイスラム教に関連した政治的問題であるだけでなく、商品化を通じてムスリム・非ムスリムの日常生活に根ざしたものとなりました。